
泣かぬ鼠が身を焦がす
第19章 七転び八起き
すると、公園の入り口から
「純? どうした!? どこか痛いところがあるのか!?」
と声がした
え
そう思って顔を上げた先にいたのは、頭から離れない愛しい人
「た、くま、さ……」
なんで
拓真さんは手にペットボトルの水を2本抱えて俺のもとへ駆け寄ってきた
「大丈夫か?」
ふ、と拓真さんが肩に触れるとびくん、と俺の身体が大きく揺れた
だって、なんで
拓真さんがいるの
俺の反応に、拓真さんは苦しげな表情を浮かべる
そんな顔
そんな苦しそうな顔
見たことない
「……水を、買ってきたんだ。俺が見つけた時、純が過呼吸になっていて……」
珍しく言葉を濁す拓真さんは、俺に水を差し出した
過呼吸?
あ……夢じゃなかったんだ
過呼吸になって、苦しんでるところを拓真さんが……
そこで、キスされた記憶が蘇る
過呼吸の時は呼吸を制限する、なんて保健で習うような対処法が頭に浮かんで気恥ずかしくなった
「……」
俺が水を受け取って飲むこともせず俯いていると、拓真さんがベンチに座る俺に目線を合わせるようにしゃがみ込んだ
「…………もう、許してはもらえないのか……?」
