
泣かぬ鼠が身を焦がす
第19章 七転び八起き
そして拓真さんの口から出たのは予想外に俺に許しを請うもので
え、今なんて……?
俺の頭は混乱した
眉を下げて俺を見上げる様子はさながら捨てられた仔犬のよう
俺が、こんな顔させてんの?
なんで
「……」
俺が何と反応していいかわからず黙っていると、拓真さんは目線を下に落とした
「……すまなかった。俺の勝手な思い込みで純を傷つけて」
沈黙に耐えかねたように語り出した拓真さんの口調はいつもより気持ちゆっくりに聞こえる
「だが……言い訳をするようで情けないが……俺も寂しかったんだ。純に隠し事をされて、どうすればいいかわからなかった」
心底反省したように謝罪の言葉を述べる拓真さん
それを見て、俺は夢かなとか考えてた
こんな、都合のいいことなんて
あるはずない
拓真さんが、寂しかったって
俺がいなくて寂しかったって
また涙が目から溢れた
俺ってこんな涙でるんだって思うぐらい、今日は泣いてばっかりだ
「純、ごめん。許してくれ。純がいないと俺ーーー」
拓真さんは俺が顔を覆って泣き出したところで話すのを止めた
どんな顔をしているかは俺からは見えないけど、きっと困った顔してるんだろう
