
泣かぬ鼠が身を焦がす
第19章 七転び八起き
でも、もっと困れ
もっと困って、俺からもっと離れられなくなって
顔を覆ったことを拒絶と受け取ったらしい拓真さんは暫く黙ってから
「やっぱり、もう、許せない……か? 俺のこと」
と情けない声で言った
「おれ……たくまさ、のために……がんばった、の……っ」
その拓真さんに、俺はもうガサガサになった喉で伝える
「ひとみさん、とこ、で……ばいと、して……っ、ぅく……おし、えて……も、らいながら……ぅ、がんばっで……づぐ……っだ……の……」
途中からもうグズグズで何を言ってるかなんて俺でもわかんなかったけど、拓真さんには伝わったみたいで途中で強く抱き締められた
久し振りの拓真さんの腕の中で「ふあ、ぅ」とか変な声が出る
「な、のに……っ、うぇ、ぇ……あんな、ふうに……っ、い……」
「うん。ごめん」
頭上から降ってくる拓真さんの言葉と、頭を撫でる手があまりにも優しくて俺の身体から力を抜く
ふにゃふにゃになった俺を拓真さんはずっと支えてくれた
「……っおれが……いぢばんに、わだじだがっだ……ぁ」
そして最後には本音が漏れて、小さな子供みたいな泣き方で拓真さんを詰った
「ばが……っ、だぐまざ、のばが……ぁぁ」
