
泣かぬ鼠が身を焦がす
第19章 七転び八起き
拓真さんは俺の顔を胸に埋めさせて
「ごめん」
また謝罪の言葉を口にした
でもその言い方には少し安堵の色が滲んでいる
更に、散々詰った俺に対して
「他には?」
と催促までしてきた
「……っ、ぼんどば、おれ……いがいのびどがらのば……ぅ、うげどっで……ぼじぐ、ながっ……だ……っ」
だから遠慮なく仕方ないって諦めてたことまでいってやった
「うん。ごめん」
また俺に謝った拓真さんは、俺の髪にキスをしてまた大きな手で撫でる
俺が悪かったって思ってたはずなのにな
大人の対応されて、流されてるみたい
拓真さんのあまりに落ち着いた態度にそんなふうに感じて
「よゆう、なたいどが……いや」
それも素直に伝えたら
俺の頭の斜め上にあった拓真さんの頭が首筋に降りてきて
「いたっ……」
がぶ、と噛みつかれた
「余裕なんかあるか」
「でも……っ」
「純が俺に隠し事してるってことに動揺して、あんなことしてーーー」
拓真さんが俺を抱きしめてる腕に少し力を入れる
首も何度も噛まれてひりひりした
「後悔して、人生で何番目かってぐらいに焦った」
