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泣かぬ鼠が身を焦がす

第19章 七転び八起き


言った後尚もがぶがぶ俺に噛み付く拓真さん

その痛みに耐えていると、今度は噛み跡にキスをしてくるようになった

そして、小さく呟くような声で


「このまま純が戻ってくれなかったらどうしようかと思った」


と言った


「……っ」


きゅん、よりももっと強い衝撃が心臓に刺さる

俺は少し背伸びして、拓真さんにされたのを真似するみたいに噛み付いた


「って」


小さく声を上げた拓真さんに構わず数回噛み付いて、そこにキスをする


「俺だって、拓真さんが部屋に帰ってこなくてどうしようかと思ったし、あきれられた……っな、ら……またべつのひと……さがざなぎゃ、で、おぼっ……」


少し落ち着いたからもうちゃんと話せると思ったけど、言ってる途中でまた涙が溢れてきてしまった


「で、も……ぅ、だぐばざん、いがい、とば……も、ゼッグズ、じだぐな……っいぃぃ」


俺の涙を見て拓真さんは何故か満足げに「ふ、」と息を漏らして笑う


なんだよ
なんで笑ってんだよ


笑うなって言ってやろうとしたら、拓真さんは俺を抱き締めた状態のままひょいっと持ち上げた


「わっ……!?」
「嬉しい。俺も、純以外となんて考えてない」

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