
泣かぬ鼠が身を焦がす
第19章 七転び八起き
そう言うと、拓真さんは一瞬でも無駄にしたくないかのようにせこせこと準備をして俺はあっという間に脱衣所に連れて行かれた
「ほら、脱げ」
「ちょっ……なに、ぅわ、ぶ」
そしてさっさと服を脱がされ、浴室に入れられる
強引だな……
なんなの、急に
俺を追うようにすぐに浴室に入ってきた拓真さんは、シャワーを取ると俺の頭にかけた
「洗ってやるから、じっとしてろ」
「自分で出来るよ……っ」
俺が抵抗しようとすると
「だめだ。俺今日誕生日なんだから、言うこと聞け」
なんて言う
「……」
誕生日じゃなくたって俺に反抗させたりしないくせに
ズルいぞ
そうは思いつつも、言い返すことも出来なくて俺は大人しく全身拓真さんに洗われた
同時進行で自分も洗っていたらしく、拓真さんは俺と一緒に洗い終わって一緒に湯船に浸かる
ここまでの動作があまりに早すぎて、部屋から湯船までが一瞬に感じた
何をそんなに急いでるんだ?
「これ、使わせてもらうな」
「あ……うん」
すると、拓真さんは嬉しそうにキャンドルに火を灯した
あーー……これがしたかったのかな
なんか、すげー嬉しそう
拓真さんは俺を背中から抱きしめながら浴槽に浸かって、揺らぐ火を眺めている
