
泣かぬ鼠が身を焦がす
第23章 毒がある
山のように積み上げられたそれには、昨日今日と会ってない茜さんのも入っているんだろうか
俺が敵でも見るように遠くから睨んでいると、突然扉が開いた
「!!!」
「失礼致します。……驚かせてしまいましたか?」
「いや、うん……大丈夫」
いつも通り入ってきてくれたはずの伊藤さんにめちゃめちゃびっくりして気を使わせてしまった
「本日の社長のご予定はーーー」
それからいつも通り淡々と拓真さんの予定を話した伊藤さんは、俺が驚いた理由とかも聞かずに部屋を出て行った
そしてまた1人になって、視界の端に入って俺の気を引くプレゼントの山
なんか、一昨日より増えた気がする
昨日俺が死んでる間に持ってきたのかなぁ
そりゃそうか
朝拓真さんに会って手渡し出来る人数なんて限られてるし
ここの社員なんて何人いるんだって感じだし
「……」
俺はゆるりと立ち上がってプレゼントの山に近づく
今気がついたけど、花束とかはなくなってるから秘書室の誰か……多分伊藤さんが持って行って生けてくれたんだろう
色とりどり、大小様々なプレゼントがある中でも、名前も知らない社員さん達よりよっぽど気になるのはやっぱり茜さんの
どれ、かな……
茜さんには幸せになって欲しい、けど、
拓真さんはダメだよなぁ……
