
泣かぬ鼠が身を焦がす
第23章 毒がある
考え事を巡らせながら椅子に座ると、茜さんは俺の考えを読んだみたいに話し始めた
「そういえばさ、聞いてよノラ」
「ん、なに?」
「社長への誕生日プレゼント、まだ渡せてないんだよね〜」
正直心臓が飛ぶかと思うぐらいびっくりしたけど、話の内容にもびっくりした
「え、渡せてないの?」
なんで
あのプレゼントの山の中にあるんじゃないんだ
「そうなの。当日はなんか忙しそうだったし、昨日もバタバタしてたし。渡せてないどころか殆ど話す時間もなかったよ」
そう言われてまたドキッとした
だって当日忙しかったのも昨日バタバタさせたのも多分、つーか確実に俺のせいだもん
「……そう、なんだ……」
「もう2日も遅れちゃったよー。今から渡すのって変かなー」
どうしよーと俺の向かいの席に座って机にもたれる茜さん
「……」
ここで、遅くなったなら渡さない方がいいって言ったら茜さんはその通りにするのかな
「ノラ? どうかした?」
「え、あ……ううん」
茜さん素直だし
きっとそうだろうな
俺の胸の中がモヤ、と曇って
ズシ、と重くなった
なんだよ
プレゼントちゃんと渡せても
俺ってやな奴じゃん
