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泣かぬ鼠が身を焦がす

第23章 毒がある


「ねぇノラ、どうしたらいいと思う? 今から渡しても変じゃないかなぁ」


俺に答えを求める質問に、正直どう答えていいか悩んだ

けど


「いいんじゃない? 遅れたって、拓真さんのことちゃんと考えてプレゼント選んだってことは伝わるよ。大丈夫」


俺はこう答えた


結局は、俺に何も出来ないことぐらいわかってる

茜さんの気持ちを止める権利も
拓真さんが茜さんにどう返事するか指示することも
出来っこない

だから今俺に出来るのはただ信じることと応援することだけ

拓真さんを信じて
そして、茜さんがこの後ちゃんと立ち直れるように応援する

嫌な奴になりたくない


だから

だからね


「茜さん、頑張ってね」


嫌味じゃなくて
本当に心から出た素直な気持ち

それを伝えたら、茜さんは照れ臭そうに笑った


「うん。ありがとう、ノラ」


えへへ、と笑う茜さんは本当に可愛くて、女性として魅力的だからきっといい人にこれから出会えるよね

うん

きっとそう


「よし! 元気も出たし、仕事戻ろっかな!」


元気よく立ち上がった茜さんは大きく伸びをして、肺に空気を満たすように大きく息を吸った

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