
泣かぬ鼠が身を焦がす
第23章 毒がある
「ふはーーーっ、よしっ……て、あ、そうだ」
茜さんの相談に付き合ってたらちょっとだけ冷めたお昼ご飯に箸を伸ばしてたら、もう行くと思った茜さんが俺を見た
「なに?」
「ノラの誕生日にもちゃんとプレゼント渡したいから、いつか教えてくれる?」
「え、くれるの!?」
驚いた俺と一緒に驚いた顔をする茜さん
「え、あげちゃダメ?」
「いやいや、そうじゃなくて……」
だって
誕生日プレゼントなんて
「今まで貰ったこと、ない……な」
小さい頃は貧乏で
母さんが再婚した後は
あぁ、思い出したくないこと思い出しちゃった
俺のテンションが急降下したのを茜さんも感じたのか、慌てたように明るくなった
「誕生日、知らないわけじゃないんでしょ? すっごい盛大にやってあげるから、教えて?」
茜さんは俺の事情なんて何1つ知らないけど、気使わせちゃったな
ごめんね
「うん。楽しみにしてるね」
俺は自分の誕生日を教えて、茜さんの誕生日も教えて貰った
「茜さんの誕生日もうちょいじゃん」
「そうなの。お祝いの言葉だけでも欲しいな」
「絶対忘れないようにするね。俺ずっとここにいるから曜日感覚なくなっててさー」
