
泣かぬ鼠が身を焦がす
第23章 毒がある
俺が笑いながらそう言うと、茜さんも笑ってくれた
良かった
茜さんが部屋から出て行って、俺は1人茜さんの誕生日プレゼントに何かあげられないか考えながらご飯を食べた
またバイト、ってわけにはいかないよなぁ
キャンドルの材料残ってたっけ?
あーでもだめだ
イランイランは拓真さんに言われたみたいな意味で取られたら気まずくなっちゃうし
んー……
ヒトミさんにまた相談してみよっかな
拓真さん行っていいって言ってくれるかなぁ
そう考えてるうちは特に他に何も考えずに済んだ
それに、いつもお世話になってる茜さんが生まれた日なら、絶対絶対何かしてあげたいし
でも、女の子なんだよねぇ
俺女友達なんて今までいたことないからなー……
頭に浮かんできた明人は付くもん付いてるから除外除外
色々考えてたら拓真さんと茜さんのことは段々意識から薄れていって、最後にはテレビなんかものんびり見てた
思い出して、またソワソワしたのは夜になってから
拓真さんは平然と帰ってきた
けど
その日の拓真さんは、俺の勘違いかもしれないけど
いつもよりも少しだけ帰ってくる時間が遅いように感じた
