
泣かぬ鼠が身を焦がす
第24章 鬼も仏も
俺の言葉に、拓真さんは「わかった」と言いながら頭を撫でてくれた
「しかし、バイトはする必要ないぞ。金は俺が出してやる」
「いいの?」
「俺だって、茜には幸せになってもらいたいからな」
そっか
2人からってことなら、茜さん余計に喜んでくれるかな
「何がいいかなー。明日探しに行って来ようかな」
「携帯を忘れずに持って行くなら、行ってきていいぞ」
「やった」
拓真さんのお許しも出たし、明日行って来よ
でも、寝るのはもうちょっとしてから
もうちょっと拓真さんとくっついてたいから
俺は黙って拓真さんの上から退かずに、暫くそのままでいた
次の日、俺は宣言通り朝から着替えて出掛ける準備をしていた
「今日はどこまで行くんだ?」
「駅ビルの中のお店が可愛かったから、またそこに行って来ようかなって。それ以外のとこだとあんまりわかんないし」
「そうか。俺も今日は駅から歩いて数分の会社で仕事だから、何かあったらちゃんと連絡しろよ」
「はぁい」
心配性だねぇ
と思いながらぼんやり返事をすると、伊藤さんが入ってきた
「社長、ノラ様、お車の準備ができました」
「あぁ」
「はい」
