
泣かぬ鼠が身を焦がす
第24章 鬼も仏も
お店の中を1人でぐるぐる回って、ほぼ全部のお店を見たけど結局決まらず
どうしよー
と思ったところで近くに別のビルがあることをポスターで知った
へー
ここもたくさん専門店入ってるんだ
しかも駅ビルと被ってない
歩道を伝って行けば道路すら渡る必要がないくらい近くにあるみたいなので、俺は地図で場所を確認して外に出た
たくさんの人
私服だったり
スーツだったり
カップルだったり
夫婦だったり
1人だったり
色んな人がいるなーなんて眺めて
穏やかな気持ちでのんびり歩く
「!」
そんな俺の手を後ろから掴んできた人がいた
なに?
こんなところに知り合いなんていたっけ
と思いながら振り返る
そこにいたのは
「……母、さん…………?」
驚いたのと信じられないので目ん玉が落ちてしまいそうなほどに目を開くけど、何度見てもその顔には見覚えがある
「純……!!!!」
完全に頭がフリーズする俺の手を、母さんは強く握った
は?
なんで
なんでこんなところにいる?
つーか
え
なに
俺……え?
ぐっちゃぐちゃの頭だけど、母さんがそこにいることは正確に認識出来たらしく
