
泣かぬ鼠が身を焦がす
第24章 鬼も仏も
「……っ」
俺は勢いよく母さんの手を振り払った
動悸が早い
それに、変な汗
出る
何年ぶりだ?
母さん
少しやつれたか
いや、そんなことじゃなくて
俺は気がつけば後ずさりして
母さんから逃げるように走り出していた
今、幸せなのも
全部
なくなって
また
引き摺り下ろされるような
そんな予感がした
だって俺に話しかけてくるなんて
何考えてんだ
何話せって言うんだよ
くそ
「純!! 待って!!!」
後ろから母さんの声が俺を追いかけてきて
さらに続いて走るような足音が聞こえてきた
嘘だろ
追いかけてこないでくれよ
どうしよう
どうしよう
無我夢中で走り出したせいで道があんまりわかんないとこに入っちゃった
あーー
人が見てるし
母さんもしつこいよ!!!!
俺はあんたともう関わり合いたくないんだよ!!!
道がわからないせいで、ヒトミさんの店に行こうにも出来ないし
車を呼ぼうにも結構時間かかるって言ってたっけ
ずっと走って逃げるわけにはいかないのに!
そう思って走っていると
「ノラ!」
と母さんとは別の声がした
