
泣かぬ鼠が身を焦がす
第24章 鬼も仏も
「……ねぇ拓真さん、いつ視察に来るって?」
俺は落ち着いたからもう大丈夫、と拓真さんから離れようとしたけど離してもらえず
結局諦めて甘えたまま拓真さんに質問した
すると拓真さんはベッドの近くの台に乗っていた卓上カレンダーを取って
「この日だな」
と指差して教えてくれる
今日から、1週間後
茜さんの誕生日……
なんでそんな、狙ったように来んだよ
「純」
「……ごめん」
「謝るな」
また震えだした身体を拓真さんが摩ってくれて、ついまた謝ってしまった
そーいえば
会社に来るってことはわかってるんだから
「拓真さん、視察の当日に俺が外に出てればバレないんじゃないの?」
名案かも、と思って言ってみたんだけど
すぐ拓真さんに「だめだ」と切り捨てられた
「なんで?」
「……」
俺の疑問に、少しの沈黙
そして本当は言いたくなかったのだが、と前置きして
「会社の外に怪しげな人間が複数人いる。恐らくどこか別のところに隠されるのを恐れて見張っているんだろう」
と話してくれた
見張り!?
マジかよ!
「どうやら本気で、純のこと捕まえに来てるらしい」
