
泣かぬ鼠が身を焦がす
第24章 鬼も仏も
そんなことまでして、権力が欲しいかよ……
あのクソ狸
「だから当日も、当日までの期間も、ここから出すわけにはいかない」
「……会社の中で隠れんぼってことね。いい年こいてふざけんなよ」
イライラが募って
落ち着かない
「通常なら、俺のプライベートな空間は視察の対象外なんだがな」
「だよね。でも……」
「あぁ。目的が目的なだけに、どうなるかはわからない」
「……」
重苦しい空気が流れる
すると拓真さんが気を使ってくれたのか
「話は変わるが、茜の誕生日プレゼントは決まったのか?」
と別の話題を振ってくれた
「あ、そうそう。ある程度候補絞ったんだよ。4つぐらいかな?」
「そうか。なら、今日帰ったら見せろ」
「? なぜ」
「お前が人にどんなものをあげるのか、興味があるからだ」
?
言ってる意味がわからん
そう思ったけど、拓真さんは言い終わると「もういいな」と言って俺を置いて立ち上がった
「じゃあ、仕事に戻る」
「うん」
「何かあったら、すぐ言えよ。今日は社内にいるから」
「ありがと」
拓真さんは俺の頭を軽く撫でると部屋から去って行った
俺も、茜さんのご飯ちゃんと食べよ
1週間後、絶対に茜さんの誕生日お祝いするし、絶対に
逃げ切ってやるんだ
