
泣かぬ鼠が身を焦がす
第25章 合縁奇縁
小さいけれどウォークインクローゼットになっているそこは、普通に入ってたんじゃ開けただけでバレかねない
俺は色んなものを楯にして自分の身を隠した
真っ暗な中で1人小さくなって来るかもわからない人間を警戒し続ける
これほど長く感じる時間はあるだろうか
一応拓真さんから渡されていた携帯を持ってきたから、ちょこちょこ時間を確認するけど
まださっき時間見てから1分しか経ってない
頻繁に見過ぎかな
こんなんじゃ、何時間も耐えられない
ちょっと時間確認するの抑えよう、と思って携帯をポケットにしまい込む
それからどれぐらい経った頃か
カチャ、と控えめに扉が開く音が聞こえた
!!!!
来た!?!?
俺の心臓がドッ、と跳ねる
もしかしたら拓真さんかもしれない
お昼ご飯持ってきた人かもしれない
そう考えて落ち着かせようと思ったけど、すぐにその期待は裏切られた
明らかに部屋中をガサガサと探し回る音
拓真さんだったら声をかけてくれるだろうし
お昼ご飯持ってきただけならすぐに出て行くはず
明らかにおかしい
それを不審に感じてから、また俺の心臓が一段と早くなった
