
泣かぬ鼠が身を焦がす
第4章 隠した爪に刺される
なんだとぅ?
「宿題出したの杉田さんでしょうが」
またチョップすんぞこら
「でも、寝ていたら意味ないじゃないか」
「飯食うぞ」と呼ばれて、テーブルまで枕にしていた参考書を持っていく
「仕方ないじゃん。後半暇だったんだもん」
「暇?」
「ほら」
解き終わった参考書をテーブルの上にバサバサと置くと、杉田さんが驚いたような顔をした
なんだその顔は
俺のことなんだと思ってたんだ
「全部終わったのか……?」
「最初は面白かったけど、別に問題自体は難しくないしすぐ終わっちゃった」
「……お前、学歴は?」
そんな驚くことねーと思うけど
「内緒」
「…………」
俺が席についてもまだ問題集を眺めている杉田さん
え
まだ驚いてんの?
……
俺そんな馬鹿に見える?
「……間違っているところもない」
「見るだけでわかんの?」
「あぁ」
すげー
つか
「俺のこと舐めすぎだよね?」
「……」
「シカトかよ。先に飯食うぞ」
「……」
もーなんなのこの人
コミュニケーションを取る気がないの?
疲れるわ
あぁ、でも
「俺のご飯のためにわざわざ来てくれたの?」
