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泣かぬ鼠が身を焦がす

第5章 猫の前の


うぅ、ん……?
そんなに褒められたことねーから、何言ってんのかわかんね


「気がついたらすぐに好きになってしまっていました」


そう言って伊藤さんは俯いてしまう


綺麗なって言うなら伊藤さんでしょ
そんなに整った顔をしておいて


「伊藤さん?それはどこのノラなわけ?俺、そんな上等な人間じゃないよ。こんな生き方してる俺が、綺麗とかそんなわけない」


近くに寄って顔を覗き込んでみる


ほら、やっぱり


「伊藤さんのが、綺麗だよ」


慰める意味ではなく、素直な気持ちのまま微笑みかけると伊藤さんのが顔が真っ赤に染まった


「……っ」
「ノラ」
「わっ……」


すると突然背後から腕を引かれて立ち上がらされた


「事情はわかった。人の思いは自由だし、それに関しては俺は何も言わない」


ほぉ
流石だね

大企業の社長ともなると心も広いこと


「しかし、それなりの処罰は受けてもらうぞ。ノラと性行為に及んだことは許されたことじゃない」
「……はい。覚悟しています……」


うぅん……
俺としてはちょっと残念だな?

せっかくの快適セックスライフがこんな形でなくなるなんて
でも、杉田さん考えとくって言ってたし何か対策でも取ってくれんのかな

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