
泣かぬ鼠が身を焦がす
第29章 黒白を
一緒にいたいという気持ちが俺の独りよがりではなかったということ、か
俺は純を連れて裁判所を出た
両親から俺の手で法的にだけじゃなく、物理的にも引き離すように
結局、なんの滞りもなく終わった調停は俺たちの請求通り純と父親の親子関係を断ち切ることが出来た
そして更に母親とも戸籍を分けるという形で関係を切り、純は戸籍上完全に天涯孤独の身になった
本来なら父親とも籍を分けるだけで良かったのだが、現職の総理と籍が同じだったという事実すら残したくなくて裁判をした
勝手な判断だったが、どうしてもそうしたかった
そして純の戸籍は裁判が終わったらそのまま俺の籍に入れる予定だったのだが、養子縁組とは言えすぐに入れてしまうのは勿体無い
籍を入れるなんて大事なことを事務的にしたくない
ちゃんとやることはやりたい、だろ
純は法律関係の話はよくわかっていなかったようで、両親との関係が切れたことしかわかっていないようだ
だがそれでいい
サプライズは驚いて貰うためにするものなのだから
問題は、俺がまたこの後仕事漬けに戻らなければいけないことだな
サプライズするのには準備もいるし、純には少しゆっくりしていてもらおう
