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泣かぬ鼠が身を焦がす

第30章 歩く足には


なんかちょっと、感動
帰って来たなって感じすごいする

あと、俺の本名もきっと知ってるのに「ノラ」って呼んでくれたのは気遣ってくれたのかな
とか


「純でいいです伊藤さん。……ただいま」


俺が照れつつそう言うと、伊藤さんがにこっと笑って頷いてくれた


「お帰りなさい、純様」


いやちょっと
イケメンがそんな風に笑ってるのとかやばいな

より照れる


恥ずかしさに俯きながら3人で会社に入る

するとエレベーターを待っている時に拓真さんが


「静、車に忘れ物をした。取って来てくれ」


と言い出した

伊藤さんは「かしこまりました」と言って道を引き返して行く


何忘れたんだろ


と思って拓真さんを見ようとしたら、エレベーターが到着した音がして2人で乗り込む

拓真さんがボタンを押してゆっくりとエレベーターの扉が閉まった

すると


「純」


と拓真さんに名前を呼ばれる


「何?」
「……」
「? なんだよ」


人の名前を呼んだくせに黙ってる拓真さん
少しすると


「……あまり、静に懐きすぎるなよ」


なんて言われた


「はぁ!?」


な、なんだそれ!!!

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