
泣かぬ鼠が身を焦がす
第30章 歩く足には
「茜さん、ちょっと……というかすごく遅くなっちゃったけど、誕生日おめでとう」
そして俺がプレゼントを茜さんの前に差し出すと
「……え……」
茜さんが石になったみたいに固まった
な、なに……?
もしかして俺とんでもなくまずいことした?
茜さん誕生日に凄まじいトラウマがあったとか……
あまりの反応に俺はビビって、差し出したプレゼントを引っ込めようとする
すると
「!?」
その手を茜さんにガシッと掴まれた
心臓飛び出るかと思った……!!!
「茜さん……?」
俺の手を引き留めたのにまだ何も言わない茜さんの名前を呼びながら顔を覗き込むと
「!!!」
茜さんは目から大粒の涙を流していた
ど、どっちだ!?
喜んでる!? 悲しんでる!?
くしゃくしゃになった顔からじゃその判別がつかなくて困惑する
「茜さん……大丈夫?」
「うぅ、ぅぅぅ……」
俺が声をかけると茜さんは突然唸り出して
余計にどっちかわからない……!!
俺はどうすることも出来ず、とりあえず慰める意味で茜さんの肩を撫でた
「ご、ごめんね?」
そしてひとまず謝る方へと話を持っていく
