
泣かぬ鼠が身を焦がす
第31章 秋風
なんか、あぁやってすんなり信じて貰えて、心配もして貰って
それなのにこうやって平然と嘘つく俺って、ダメな子だなぁ……
俺は1人取り残された部屋でベッドに顔を埋めながらちょっとだけ泣きたくなった
だって自分の姿があまりにも酷く見えて、拓真さんに嫌われちゃうかもとか思ったら怖くて
けど本当はわかってる
正直にちゃんと言ったとしても、拓真さんが俺のこと見放したりしないってわかってる
わかってるけど
少しでも可能性があることは怖い
「……」
俺が自己嫌悪とか不安とかで一杯一杯になっていると、拓真さんが戻って来る
「! そんなに痛いのか? 今から病院に行こうか?」
気遣いが心に刺さって痛い
「……うぅん、大丈夫。きっとすぐ治るよ」
「そうか。なら薬はちゃんと飲めよ」
「……ん……」
急に元気な無くなった俺に、拓真さんはさっきより心配そうな顔を向ける
「顔にゴミが付いてるぞ」
拓真さんがそう言って俺の目元を拭った
ちょっと泣いてたのバレたのかな
拓真さんそういうのよく気づくから
「ありがと」
「あぁ。薬を飲んだならもう寝よう。腹が痛いなら今日は強く抱き締めたりしないから、腕枕だけでもさせてくれ」
「……うん」
