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泣かぬ鼠が身を焦がす

第32章 愛してその醜を忘るる


「拓真さんがお腹の調子悪かったわけじゃないのに、どうしてそんな気にすんの?」


すると、拓真さんはさっき髪の毛を避けるついでに俺の頭を撫でていた手で今度は前髪を上にあげてきた


なんか今日は珍しく多く触ってくるな


「俺じゃなくて、純だから気になるんだろう」
「? 意味わかんない」


俺が首をかしげると拓真さんはふ、と笑みを浮かべる

そしてまた俺に触れるだけのキスをした


「俺の調子が悪いより、純の調子が悪い方が何十倍も辛いんだよ。心配でしょうがなかった」
「……」


うわ、ぁ……
なんだそれ

なん……うあぁ


拓真さんの言葉の恥ずかしさに俺は顔から火をふくんじゃないかってぐらい真っ赤になった

さっきは暗いから拓真さんの顔色わかんなくて残念って思ったけど、今は俺の顔色が拓真さんにわからなくてよかったって思う


「ここ最近は本当に純が辛そうで、心配だった。治って良かったな、本当に」


恥ずかしい
恥ずかしい

それに、恥ずかしいのと
罪悪感がすごい


拓真さんが恥ずかしいことを見せたんだから、俺だって言わなきゃいけない……よな

対等でなきゃ


俺は拓真さんに向き直った

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