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泣かぬ鼠が身を焦がす

第33章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー2)


そして、社に戻る車の中
同乗していた社員が言いました


「すごく聞きにくいんですけど、伊藤さんってアールワイシーの三村さんとお知り合いなんですか?」


1人がそう聞くと、他の数名の社員も「私もそれ気になってました」「俺も」と口々に言いだします


「いえ、プロジェクトが始まる際に初めてお会いした方です」


私がそう答えると他の社員は皆驚いた声をあげました


「えっ、そうなんですか?」
「でもすごい伊藤さんの方見てるじゃないですか」
「会議中暇があればずっとって感じですもんね」
「……」


やはり、気づきますよね


「それなのに会議の内容頭に入ってるんだから不思議だよな」
「むしろあれが集中するために必要なことなのかな」
「伊藤さんを見つめることが? まさか!」


話はおかしな方向に捻れて、三村様がどんどん変な人に変換されていきます

変な人、ではあるので間違ってませんが


「あまり悪く言うのはよくありませんよ」


私の口からはそんな三村様を庇うような言葉が出ていました


どうして


動揺する私をよそに、他の社員は「そうですよね、すみません」と普通に受け入れています

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