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泣かぬ鼠が身を焦がす

第33章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー2)


見ると以前のプロジェクトでご一緒させて頂いた方でした

その時のプロジェクトはとても大きいものでしたが、参加したメンバーの努力で成功

そして、そのような経験を共に積んだ人とは仲間意識が生まれるらしく、相手の方はとても親しげに社長に話しかけます


「静、時間は?」
「次の仕事まではまだお時間がございます」


社長も時間を確認してからその方と懐かしそうに話し始めました

私はその方と直接的な知り合いではないため、後ろで見ていると


「……」
「……」


同じように後ろで立って眺めていた三村様が私との距離を縮めてきました


なんでしょうか


意味深なその行動に私の心臓が鼓動を早めます

そして2人が談笑している隙を見計らって


「!」


私のスーツのポケットに三村様が一瞬手を入れられました

恐らく、何かを私のポケットに入れられたのでしょう

しかし確認する間も無く


「悪い、待たせたな。行こう」


と社長が話を終えてこちらに向き直ってしまいました


「行きましょう」


三村様は何事もなかったかのように歩き出されます

動揺しているのは私だけ

でも仕方がないでしょう
気になるのは

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