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泣かぬ鼠が身を焦がす

第33章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー2)


ですが私は敢えてしまた知らんぷりをします


「失礼ですね。何も入ってなどいませんよ」
「す……っすみません」


私の言葉に三村は謝罪の言葉を述べました

そしてまた私は平然と先ほどの話の続きを話し始めます


「……はい……っ」


三村は相槌を打ってはいますが、どこか上の空で
時間が経つほど目線が少しずつ下がって行きました


そろそろですか


私は話を途中で切り上げ、三村と私のカップを持って立ち上がりました


「それほど私の話は退屈だったでしょうか。申し訳ありませんでした。今日はこれぐらいにして、お帰りになって下さい」
「え……、あ……」


三村が小さな声を漏らしましたが、私はそれを無視してキッチンへと向かいます

使用したカップをシンクに入れ、中に少し水を入れてからリビングに戻りました


「どうされたのですか? もうこんな時間ですから早く出ないと、家に帰るのが遅くなってしまいますよ?」


私は三村の着ていたジャケットやカバンを持って、にこやかに差し出します


「どうぞ」
「……っっ」


すると


「っ嫌、です……!」


と三村から拒絶の言葉


「このまま帰るなんて……出来ません……っ」

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