
泣かぬ鼠が身を焦がす
第34章 旅は道連れ
手を退けようとするけど、俺よりよっぽど身体もデカくて力の強いそいつにはあんまり効果はない
くそ……っ
どうしたらいい
と考えていると、俺の手が後ろから急に伸びてきた手に上に引っ張られて立たされた
新たな刺客か!?
と思ってその手も振り解こうとする
けどその手はやたらと力が強くて
くそ……!!!
そっちを見たら
「!! 拓真さん……」
後ろにいたのは女の人たちと話をしていた拓真さんだった
「何をしている」
「!!!」
俺よりも驚いた顔をしている目の前にいる男は
「杉田拓真……!?」
拓真さんの名前を呼び捨てにして後ろに下がる
「……」
拓真さんはその男を睨みつけると、俺の腕を引っ張ってその場を立ち去った
「た……、拓真さん……っ」
「……」
無言!!!
怖い!!!
結局俺を引いて部屋まで戻ってきた拓真さんは部屋に入るなり俺の両肩をガシッと掴んで目を合わせてきた
「!!」
恐怖で身体が萎縮する
けど拓真さんはそんなこと気にせず
「どこを触られた……?」
と険しい顔のまま聞いてくる
「え、と……太腿……だけ……」
「だけ、だな? 他は触られていないな?」
「……うん……」
恐る恐る返事をすると拓真さんは大きくため息を吐いた
