
泣かぬ鼠が身を焦がす
第34章 旅は道連れ
「……なんか拓真さん、子供みたい……」
「!」
俺がそう呟くように言うと、拓真さんは俺の後頭部を手で持って自分の胸に押し付けた
「ぅぶっ……!? な、なにすん……!?」
「うるさい」
俺の言葉を遮った拓真さんの声はなんとなく怒ってるのとは違う
もしかして
「…………照れてる……?」
「!」
俺の言葉に拓真さんの身体が小さく揺れた
「ふ、ふふはは……はははっ、拓真さんはわかりやす……!!!」
俺が笑うと、拓真さんはまた「……うるさい」と言って突然俺を抱き上げた
「わっ……!? なに!?」
「大浴場は深夜まで入れるから、入りたいならまた後でにするぞ」
そう言いながら拓真さんは部屋の中をツカツカ歩き始めるけど、俺には拓真さんが進んでる方向が見えなくてどこに向かってるのかわからない
すると、拓真さんが立ち止まった後カラカラカラ、という音が聞こえてきた
これは……ベランダに出る硝子戸を開けた音?
とか考えてる間に拓真さんは外に出て、俺を下ろした
「先に部屋の露店に入ろう」
「……うん……」
下ろされてから改めて見た拓真さんの顔はもう赤くなくてちょっとだけ残念
