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泣かぬ鼠が身を焦がす

第34章 旅は道連れ


けど、返事をしようとした俺の身体がぴくりとも動かなくて


「? 純!!!」


焦った拓真さんの声
聞こえる

聞こえる、けど

だめだ返事できない


目の前も真っ暗だ


「純!!!」


拓真さんの言葉を最後に俺の意識は暗闇の中に落ちて行った



意識を取り戻した時、俺は布団の中にいた


「……」


身体が火照ってまだまだぼーっとしてて、目線ぐらいしか動かせない

すると、横で拓真さんが座ってることに気がついた


「純? 気がついたか」


俺が見たことで拓真さんも俺に気がついてくれたらしくて、腰を上げて寄ってきてくれる


「どこか体調の悪いところは?」


気遣わしげに聞いてくる拓真さんだけど、俺はそもそもなんで布団に寝てるのかもわからなくて


「……」


きょとん、としたまま黙り込んでしまう

拓真さんは俺の返事を待ってくれてて、俺は回転の遅い頭でゆっくり考えてから


「俺……なんで寝てるんだっけ……? 風呂……入ってた……よね……」


と聞いた

すると拓真さんは俺の額をする、と撫でながら説明してくれる


「逆上せて気絶したんだ。悪かった、無理させて」

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