
泣かぬ鼠が身を焦がす
第34章 旅は道連れ
気絶……そっか……
だからあんなに頭ぼーっとしたのか
少しずつ頭も冴えてきて、よく考えてみたらちゃんと部屋備え付けの浴衣も着せてもらっていた
頭の下がひんやりするから多分氷枕も置いてもらってる
何から何までやって貰ったんだ
俺……何やってんの……
そしてもう1つ思い出したのは、気絶する直前のこと
拓真さん……あんなに硬くなってたのに、結局俺が1人で気持ちよくなって終わっちゃったんだ……
癒す、とか……なんも……
まだまだ鈍い頭じゃ突然滲んできた涙を我慢することが出来なくて、俺は
「……っふ、……ふぇ、ぇ……っ」
絶対したくなかったのに拓真さんの前で泣き出してしまった
「純?」
拓真さんはそんな突然泣き出した俺にも焦らず、頭を撫でてくれる
「どうした? どこか気分が悪いか?」
溢れては枕の方に流れていく涙を近くにあったタオルで拭いながら拓真さんがそう聞いてきた
「……」
違う
違うよ
俺は無言で首を横に振る
俺……自分で自分が情けなくて……
ほんと、俺ってだめ
ばか
あほ
涙を流しすぎたせいで酸欠にもなって、俺の頭はまた白んだ世界に引き戻される
