
泣かぬ鼠が身を焦がす
第34章 旅は道連れ
俺が泣いた時の癖なのかわかんないけど、拓真さんはまた俺の頬を撫でるついでに親指で目元を擦った
「晩飯の時間まであと少しだが、食べれそうか?」
ご飯……
そう考えた瞬間、俺のお腹が拓真さんには聞こえないぐらいの小さな音で鳴る
ほんと俺、ばか
ゲンキンっていうかなんていうか
「……食べれる」
俺がまた小さな声で返事をすると拓真さんは顔に小さな笑みを浮かべて
「そうか。良かった」
と返事をしてくれた
そして拓真さんはまた俺の頭にキスをして、ゆっくりと身体を起こす
「連絡をしたら晩飯を持ってきてもらえるようになっているんだ」
拓真さんが寝室から引き戸で仕切られた隣の部屋に移動して行って、温度の下がった布団がちょっとだけ寂しい
旅館の人に拓真さんが電話してくれてる声が小さく聞こえてきて
「はいーーーお願いします」
電話を切った拓真さんが机の上を片付け始めた
あ、ノートパソコンがある……
仕事してたってこと……なのかな……
そう考えると頭と胸に強い痛みが走った
忙しいのに、手間かけた
俺が
「……ぁ……」
拓真さんに聞こえないぐらいの小さな声が口から漏れると、また目から涙が溢れて枕に染み込んだ
