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泣かぬ鼠が身を焦がす

第34章 旅は道連れ


「ごめ……ありがと……」


それでもちょっとフラフラしながら歩いて布団に向かって、よこになるまで拓真さんに手伝って貰った

並んで置かれた2組の布団の片方に俺を寝かせた拓真さんは、また食事をしていた部屋に戻っていく


そんなに見たい番組だったのかな
俺もちゃんと見てたかった


拓真さんの好みを知るいい機会を逃したなって残念がりながら、さっきチラッと見た番組名を思い出す


最近は番組の公式サイトで見れたりするから、帰ったら検索してみよう


そんなことを考えていたら、拓真さんがいる筈の部屋の電気が消えた


あれ、停電……?
旅館でなんて起きるんだ

いやそりゃ起きるんだろうけど


拓真さん、大丈夫? って身体を起こそうとしたら拓真さんが歩いて寝室の方に入ってくる足音が聞こえて来た

そして俺の布団が捲られて、そこに拓真さんが入ってくる


え? え?


「少し狭いな。もう少しそっちに詰めてくれ」
「? う、うん……」


言われた通り布団の端に寄ると、拓真さんがお礼を言って優しく俺を抱き締める


停電、じゃなくて消したってこと?
なんで?


「拓真さんももう寝るの?」
「当然だろう」

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