
泣かぬ鼠が身を焦がす
第34章 旅は道連れ
当然……
そう、なんだ……
「テレビ、見たいのがあるのかと思った」
思ったことをそのまんま伝えると、拓真さんが
「テレビ番組で見たいのものは基本なーーー」
とそこまで言って口を止めた
やっぱり見たい番組なんてないんじゃん
じゃあなんで?
と思ったけど、拓真さんが明らかに「しまった」って顔してたから言うのをやめた
すると拓真さんは
「純と一緒に寝たいんだよ」
と言って俺に回している腕に力を少しだけ入れてくる
そーいうことにしといた方が何か都合がいいのかな
それとも……俺に言えない理由が他にあったの……?
なんて勘繰ってしまうけど俺が忘れた頃にまたさっきの睡魔が戻って来て、気がついたら俺は夢の中にいた
久し振りに見た夢はなんだかすごいリアルだった
珍しく「これは夢だ」って自覚できる奴なんだけど、ビルの作りとかすごいリアル
夢の中で俺は拓真さんの会社の前にいた
目の前には勿論そのビルの持ち主である拓真さんもいる
まずいな
そう思った時にはもう遅くて、俺の不安がそのまま夢になっていく
『お前はもういらない』
そう言われて、分かってたはずなのにめちゃめちゃ涙が出た
