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泣かぬ鼠が身を焦がす

第36章 一生添うとは


そして歩いて行った先には


「貸切風呂……?」
「あぁ」


『貸切風呂』と書いてある看板と、その奥にいくつかの扉


貸切風呂って、どういうこと……?
お風呂の貸切?

え、それってすごい贅沢すぎない


「ほら、行くぞ」


拓真さんが扉に書いてある番号を確認してから扉の横にぶら下がっていた小さな札を裏返した

見えていた文字が『空き』から『貸切』に変わる


「え、すごい……!!!」


扉の奥に進んでみると、4人ぐらいしか入らない小さな脱衣所とガラス張りの扉の向こうに小さなお風呂


しかも、露天……!!!


小さな、とは言っても部屋にある個室露天風呂とは違って大人が数人入っても足を伸ばして入れる大きさ


「なにこれ……!! すげー!」
「貸切風呂、と自分でも読んでいただろう。予約しておいたんだ」


いつの間に!


「大きな風呂に入りたい、と言っていただろう。大浴場は昨日のこともあって入りたくないからな」


あー……女の人に絡まれたもんね
拓真さんも入りたくないか


そう思ってると、拓真さんが振り返って俺の頬を両手で挟む


「む……?」


何、これ
何してんの

つーかこれ俺の口、タコみたいになってない?

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