
泣かぬ鼠が身を焦がす
第36章 一生添うとは
すると拓真さんはその手を動かして俺の頬をうにうにしながら
「知らない男に純を触られるのも、弱って寝ている純を他人に見られるのも我慢ならないからな」
と言って、タコみたいになってる俺の方にちゅ、とキスをした
「!」
ちょ……っ、な……に……まさかの
俺が原因!?
つーか、ブサイクな顔したまんまキスとか恥ずかしすぎるんだけど!!!
真っ赤になっているだろう顔を背けたいけど、がっしり抑え込まれてて動かせない
「はは、顔真っ赤だな」
「拓真さん、離し……っ」
「そうだな。貸切風呂は時間で交代なんだ。早く入ろう」
ひとしきり俺の顔を笑った拓真さんは、今度は額にキスをして漸く離れてくれた
な……ななな……なんだった、んだ
マジで
死ぬかと思った
恥ずか死……
「純、ほら早くしろ」
「だ……誰のせいで遅れてると思ってんだよ!!」
脱ぎかけで俺のことを急かしてきた拓真さんに文句を言いながら、俺も服を脱いでお風呂のある外に出た
「わっ……なんか今日ちょっと寒いな」
「掛け湯をして早く入ろう」
「うん」
隅っこに置いてあった洗面器でお湯を救って身体に掛けてから、露天風呂に浸かる
