
泣かぬ鼠が身を焦がす
第36章 一生添うとは
うぉぉぉあああーーー
やっぱり足伸ばせる温泉っていいなぁぁぁあ
今日の疲れを掛け流しのお風呂に溶かして排水口に流す
近くの壁に書かれている温泉の効能には『疲労回復』の文字もあるし、本当に回復していそうだ
なんかこう、ゲームみたいな
テレレーンって瀕死の俺も回復! みたいな
手も足もぐぐぐ、と伸ばして全身の力を抜くと拓真さんが俺を見て笑った
「疲れたか? 今日」
「んー……」
疲れてないって言ったら嘘になるけど
まぁ……
「楽しかったよ。拓真さんの色んなこと知れて」
俺のことはほんと、あけっぴろげって言うかなんつーか
出身も親も、生活も友達も
全部知られてるし
だからこうやって今度は拓真さんのを知れて、疲れたけど楽しかった
素直にそう伝えると、「疲れた」って返ってくると予想していたらしい拓真さんは少し驚いた顔をする
そして
「そうか」
と満足げに笑って俺の方へと寄ってきた
「今日、よくそうやって笑うね」
気になっていたことを聞いてみると、拓真さんは自分の頬を摩って
「そうか?」
と言ってから今日の自分を思い返してるみたいな顔をする
