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泣かぬ鼠が身を焦がす

第36章 一生添うとは


暫く考え込んだ拓真さんは答えが出てから俺を脚の間に入れて


「そうかもな」


と言った


……広いお風呂なのに、くっついてたら意味ないじゃん

いやまぁ、離れてるのもアレだけどさ


拓真さんは後ろから俺の手を取って、両手でマッサージしてくれる


「なんというか、今日は俺も色々と楽しかったしな」
「楽しかった……? 拓真さんも?」


手、気持ちー


手の甲や手の平を両手の親指でぐ、ぐ、と刺激されて目がとろんとする


ちょっと
眠い、かも



「あぁ。それに、純がいたことで救われたからな」
「……救われた……」


あまりの気持ち良さと今日一日の疲れで拓真さんの言葉を反芻するしか出来なくなった俺は、拓真さんの言っていることの真意を確かめることもできない


どーいう意味だろ
俺が、救い?

あー……きつかってくれてるとか
なのかな


「……俺、なんにも……してない……」
「眠いか?」
「ん……ちょっと……」


柔らかく後ろから抱きしめられて、手のマッサージされただけで寝るとか

子供みたい

だけど、眠い


「寝てていいぞ。身体洗って、部屋まで運んでやるから」
「ん……いい。自分で……やる……」

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