
泣かぬ鼠が身を焦がす
第36章 一生添うとは
「秘密」
そう言って拓真さんはパソコンを机の端っこに追いやる
けどまだまだ手の届く距離にあるパソコンは、端っこのランプが光ってるからスリープになってるっぽい
めっちゃ開きたい
秘密、とか
どうせ仕事だろうし、拓真さんの物を勝手に見るなんて絶対できないんだけど
「それよりも晩飯にしよう」
そう言われて改めて目の前を見てみると、机の上には晩御飯の用意が既にしてあった
「あれ……晩御飯の用意……いつ……?」
「心配するな。まだ用意されてから10分も経っていない」
「……」
いやいやいやいやいや
俺が心配してんのはそんなことじゃないっつーの
え、だって
「用意してくれたのって、昨日と同じ人……?」
「あぁ、そうだな」
あー、いや
ちがうのかも
俺が勘違いしてるだけで
「じゃあ膝枕してくれたのが5分くらい前から?」
「いや、純をここに連れてきた時からずっとだな」
「それってちなみに何分ぐらい?」
俺の質問に拓真さんは部屋の壁掛け時計を確認する
「30分くらいか」
じゃあやっぱり
「俺が拓真さんに膝枕されてるとこ、仲居さんに見られたってこと……」
