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泣かぬ鼠が身を焦がす

第36章 一生添うとは


拓真さんは漸く俺がさっきから何に引っかかってるのかわかったらしくて「あぁ」と声を出した


「そうだな」
「そうだなじゃないよ!!」


そんな恥ずかしいとこ……っ
うわぁぁぁぁ


俺の動揺をよそに拓真さんはちょっと離れたところにあった晩御飯を引き寄せる


「そんなことより、食べるぞ」
「……」


……ん……うん……
もういいや

どうせ仲居さん達とは二度と会わないし

余計なこと考えたらお腹すいた
晩御飯食べる


俺が机の反対側に行こうとして拓真さんの膝の上から退こうとすると、俺のお腹に腕が回ってきて


「わっ……!?」


また膝の上に戻された


「何……っ」


拓真さんの方を振り返ると拓真さんは当然のような顔をしている


「何をしてるんだ? 用を足しに行くのか?」
「い……いや、トイレじゃないけど……」
「ならそこにいろ。食べさせてやるから」
「え……っ、いや……う、ぁむ……」


自分で食べれるよ、と言おうとしたところで拓真さんに食事を口元に差し出されて仕方なく口を開けてしまった


「美味いか?」
「ん……美味しい、けど……」
「味見」
「っ!?」


すると拓真さんはまだ口の中のものを飲み込んでない俺にキスをした

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