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泣かぬ鼠が身を焦がす

第36章 一生添うとは


けど、俺の頭の中でちょっとだけひっかかることが


俺っていつまで引きこもり生活続けるんだろう

拓真さんの隣にずっといられるには、癒しなんてところで満足してる場合じゃないんじゃないかな


「明日も出掛けるからな。そろそろ寝よう」
「……うん」


喋る用に空いていた隙間を埋めるように拓真さんに抱きしめ直されて、目を閉じる


考えるのはまた今度にしよう

うん


「おやすみ、拓真さん」


俺が最後にそう声を掛けると、拓真さんが


「おやすみ」


と返してくれて頭にキスを落としてくれる

その記憶を最後に俺の意識は夢の中へと落ちた


朝になって目が覚めて、美味しい朝食を食べたら旅館をチェックアウトして車で出発


「いい旅館だったね」
「気に入ったか?」
「うん。もっと堪能すればよかったなーとか思っちゃう」
「温泉もゆっくり入ったし、十分だろう」


他にどうやって堪能するのか、と言いたげな拓真さんに俺も「うーん」と考える


「広かったし、探検とかしたかったな」


そして導き出した俺の答えがあまりに幼稚すぎて自分でもおかしいって思ったけど、拓真さんは馬鹿にすることなく「そうだな」と同意してくれた

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