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泣かぬ鼠が身を焦がす

第36章 一生添うとは


いつもはもっと俺の方振り返って気にしてくれるのに、今日は車を降りてからずっと目が合わない

こんなところでも拓真さんに違和感を感じて、なんだか段々不安になってきた


どうしたんだろ
俺がなんかした?

いやでも昨日……ううん今朝までは普通だったはず

車の中で徐々に変な感じなってった……よな





もしかして昨日お母さんのところに久し振りに行って、男の俺と付き合ってることが嫌になったとか


突拍子もない思いつきに自分で傷つく

そんなことで旅行中胸の中に落ちていた重くて黒い物の存在まで思い出してしまって、どんどん気落ちしてしまった


拓真さんの役に……立ててない
…………


俯きながら拓真さんの足を見て歩く

すると、突然拓真さんの足が止まった


「?」


不思議に思って顔を上げると、いつの間にやら俺はさっきの可愛い建物を抜け出して外の芝の上を歩いていた

そして目の前にはまた別の建物の入り口

二階建ての一軒家ってぐらいの大きさだけど、二階建てにするにはやけに屋根がとんがっている


「入るぞ」


と、そこで拓真さんに言われて、車を降りてから初めて目が合った


「……うん」

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