
泣かぬ鼠が身を焦がす
第36章 一生添うとは
泣き笑いでもう意味分かんない俺に拓真さんは
「返事は?」
と聞いて来る
そんなの聞かなくたってわかるだろ
でも、そうだな
俺も言いたい
すごく
「……はい。喜んで!」
言うが早いか俺は拓真さんの腕の中に飛び込んだ
びっくりしたみたいだった拓真さんだけど、難なく俺を受け止めてくれる
「拓真さん、好き。愛してる」
「俺も」
「ちゃんと言え」
「愛してるよ、純」
拓真さんの言葉に満足して「ふへへ」とブサイクな笑い声が出ると、拓真さんに顎を持ち上げられて
「……ん」
触れるだけの優しいキスをされた
そして、きちんと立たされてから
「手、出せ」
と言われる
「どっち?」
「結婚だって言っただろう。左だ」
「へへ……はい」
無駄に拓真さんの言葉1つに絡みながら手を出すと、細い方の指輪が見事に俺の薬指におさまる
「拓真さんも」
「あぁ」
残った方の指輪を拓真さんの指に通してみると、お揃いの指輪がなんかすごい一体感で
「拓真さんと1つになっちゃったみたい」
「そうだな」
またぎゅう、と抱き締められるとより一体感が増したように感じる
幸せ
