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泣かぬ鼠が身を焦がす

第36章 一生添うとは


そう言うと拓真さんは身を屈めて俺にちゅ、とキスをした


「悩みや相談、苛つきも、全部書いて。全部教えてくれ」
「……ん、ん……それ、じゃ……日記みたい……」


何度もキスをされて話しづらくなりながらそう言うと、拓真さんが笑って「それでもいいな」と言う


「溜め込まれるといつか爆発して、離れていきそうで怖いんだよ。だから、頼む」


溜め込んだものが爆発して
離れる


ちょっとだけ理解できるその言葉に、俺はまた本に視線を落として頷いた


「……わかった……」


そしてまた視線を上げる


「じゃあ、拓真さんも書いてね」


俺のその突然の申し出に拓真さんは目を見開いてびっくりしたような顔をした


「俺も?」
「うん。……俺だって拓真さんの考えてること全部知りたいよ。でも、まだ全然力不足で……俺には難しいから……」


疲れてる、も
嫌だ、も

聞けないなんて寂しい


「……そんな風に考えていたのか。すまなかった」


拓真さんが今度は俺の頭にちゅ、とキスを落とした


「なら、意見交換用のノートにしよう。俺も純も、思った事を隠さずに書く。それでいいか?」
「……うん!」

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