
泣かぬ鼠が身を焦がす
第37章 好いた鼠は泣いても連れる
そして俺もお風呂に入って、寝間着を着て脱衣所を出ると
「?」
何故か部屋が真っ暗
な、なに
停電?
いや俺さっきまで平然と風呂入ってたし
恐る恐る歩こうとすると、カチャン、という扉の開いて閉まる音がした
突然聞こえた物音に声をあげそうになった次の瞬間
「!!」
俺の目に入って来たのはロウソクの光に照らされた拓真さん
そのロウソクは、小さなケーキに刺さっている
「……誕生日だった、っけ……?」
動揺のあまりそう聞くと、拓真さんは笑って「秘書のくせに俺と純のことも覚えてないのか」と言った
当然覚えてるよ!!!
覚えてるけど、誕生日じゃないのに持って来たケーキにびっくして聞いてみたんだよ!!!
「なんの日かわからない?」
「え、と……」
黙る俺を拓真さんがまた笑う
「仕事を詰め過ぎたか」
そして、そのケーキを机に置いて
「今日は5年目の結婚記念日だろう」
と種明かししてくれた
ケーキが机の上に置かれて照らされたおかげで気づいたけど、机の上には豪華な晩御飯も用意されている
「あ、れ……今日……? ……俺日付勘違いしてた……かも……」
