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泣かぬ鼠が身を焦がす

第7章 馴染めば思う


「ちょ……やめて……」


狭い浴槽の中では逃げる場所なんてない

しかも、人間は逃げる時って後ずさるものだけど俺の背後には今杉田さんがいる

じゃあ前か、と単純に考えて逃げようとすれば


「!!」


太腿に置かれている手は自然と俺の足の付け根側に行ってしまうわけで



ななななんなの
急にこのベタベタはなんなの

意味わかんない


この際多少変なところに手が触れようと構わない、と前に逃げようとしたら

俺のお腹に杉田さんのもう1本の腕が回ってきて、元の位置に戻された


「…………一体何がしたいわけ」
「言っただろう。風邪を引くと人肌が恋しくなるんだよ」
「風邪ひいても人肌恋しくなんかならねーし、風邪治ったって言ってたし……っておい!撫でんな!!」


フル勃起させる気かこのやろう
そしたら嫌がっても口に突っ込んでやるからな!!!!


そんな冗談を心の中で喚きながらどうにか我慢する


「……ノラ」
「!」


うわ、待って
耳元で話されるの今は無理……!!


「ノラ?」
「……っん、だよ……」


やーーーめーーーてーーー!!


うぐぐ、と力を入れていると、突然耳に息を吹きかけられる

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