
泣かぬ鼠が身を焦がす
第7章 馴染めば思う
テーブルに座って休んでいたら、5分くらい遅れて杉田さんが出てきた
なんだ
「全然自分で歩けるじゃん」
「風呂に入ったら良くなったんだよ」
「そんなわけあるか」
お湯に何の成分が溶け込んでたらそーなんの
「あーーお腹すいたぁ」
「そうだな。じゃあ少し待っていろ」
「え」
俺のぼやきを見事に拾った杉田さんは俺を置いてどこかに行ってしまう
なに……?
あ、まさか茜さんがご飯用意してくれてるとかかな
ありえる
茜さん気使える系女子だからなぁ
羨ましー
と椅子に踏ん反り返りながら考えていたんだけど
5分経っても10分経っても杉田さんは戻って来ない
え、なんで
まさか廊下の途中で死んでるとかないよね
嫌だよ俺こんな夜中に死体見るの
いや昼間でも嫌だけどさ
「杉田さん……?」
恐る恐る社長室に繋がら扉を開ける
真っ暗な中に置いてある豪華なソファやデスクってのはびっくりするほど不気味で足が竦む
でも、電気の場所がよくわからん
とりあえずここにはいない、かな
俺はさらに進んで社長室の出口らしき扉を開けた
すると
お、あそこ明るいぞ……?
