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泣かぬ鼠が身を焦がす

第7章 馴染めば思う


廊下にひょこ、と顔を出すと
社長室から少し離れた扉のない部屋のようなところに明かりが灯っている


あそこか……?

他に社員は……っているわけないか
こんな時間に


一応周りを確認した俺はちょこちょこっと歩いて明かりのところへ行った

すると、そこにあったのは小さなガスコンロに向かう杉田さんの姿


「え、わざわざ作ってくれてたの」
「!? ノラ!?」


? なんでそんな驚いてーーー


勢いよく振り返った杉田さんにそんなこと考えてると、杉田さんは着ていたシャツを脱いで俺に被せ、軽々と担ぎ上げた


「わ、わわ!? 何すんだよ!?」
「煩い。黙っていろ」
「っ……」


怒ってる、んだ
やばい俺、杉田さんなら許してくれるとか勘違いしてた

そうだった
前もこんなーーー

何で忘れてたんだよ
バカ

やばい

やばい


「……」


杉田さんは黙ったまま俺を部屋まで運びベッドに下ろした
そして


「大人しく待っていろ」


とだけ言い残してまた部屋から出て行った


呆れられた?
馬鹿だなって思われた?

どうしよ

さっきまでベタベタしてきて穏やかな雰囲気だったのに
俺のせいだ

何で俺ってこう学習能力が低いんだろう

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