
泣かぬ鼠が身を焦がす
第7章 馴染めば思う
もしかしたらまた……?
いや、杉田さんに限ってそんなこと
でも
痛い思いすんのは嫌だよ
ベッドの上でただ不安を募らせて待っていた俺のところに杉田さんが戻ってきたのは、それからまた少し待ってからだった
静かに扉を開けた杉田さんはお盆を持っていて、それを置きにテーブルまで歩く
黙ってるから、今どんなこと考えてんのかわかんね
ど、しよう
「……」
机にお盆を置いた杉田さんは俺に近づいてきて
俺のほうに手を伸ばした
「っ!!!!」
「?」
でも俺の身体はそれを拒絶するみたいに大きく揺れて
小さく震えだす
ほんと、なんなんだろ
ここ来てからこんなことばっかり
「ノラ」
俺の様子に1度手を引いた杉田さんが再び俺の方へ手を伸ばす
「っごめんなさい!!!」
「は?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!!」
「ノラ?」
「もうしません!!!絶対、この部屋以外には行きません!!!だからーーー」
「ノラ!!!」
「ひっ……!?」
口をついて出た謝罪の言葉に続く許しを請う言葉は、杉田さんに抱き締められて止められた
「や、離し……っごめ、なさ……」
「落ち着け」
