
泣かぬ鼠が身を焦がす
第7章 馴染めば思う
ぽんぽん、と背中を優しく叩かれて、荒かった俺の呼吸も多少は落ち着く
「悪かった。あんな言い方して。怖がらせたか?」
「……っと……っ、」
杉田さんの優しい口調にもう怒ってないことは明白なのだけど、俺はまだ喋れる状態じゃなくて
「落ち着いたらでいい。ゆっくりで構わないから」
と言われて背中を撫でられた
杉田さん、怒ってない?
怖がらせて悪かったって……いいの、かな
暫くして漸く呼吸の落ち着いた俺の身体からは一気に襲ってきた疲労感から力が抜ける
「ふ……」
「大丈夫か?」
「ん、大丈夫。ありがとう」
離れようと思って身体を押すと、抱きしめてた状態からは離れたもののベッドに座った杉田さんの膝の上に乗せられる形になった
「そんなに怖かったか?」
「いや、えと……」
言うべき?
いや、うぅん
杉田さん関係ないし
「……」
俺が答えるかどうか悩んで黙ると、杉田さんは俺の額に額をぶつけてきた
「なに?」
「お前、変なこと気にしすぎなんじゃないのか?」
「変なことって?」
変とはなんだ
そんなことないよね
「前に名前を聞いた時もそうだったし、シャワーも俺が言うまで存在すら知らなかった」
